イタリアの督促状と催告(messa in mora)の書き方・例文
イタリアの債務者への支払請求。督促(sollecito)と催告(messa in mora)、遅延利息、時効の中断、支払命令(decreto ingiuntivo)を例文で解説します。
要点
最初に穏やかな支払いの督促(sollecito di pagamento)を送ることがよくありますが、法律上意味を持つのは、債務者を履行遅滞にする書面での催告(messa in mora、art. 1219 c.c.)です。ただし、履行遅滞が自動的に生じる場合もあります。その後は法定利息が付きます(2026年は年1.60%)。事業者間では、催告がなくても利息が付き、さらに一律40ユーロを請求できます。催告は債務者に届いた時点で時効を中断させるため、受領の証拠を残してください。解除予告付きの履行催告(diffida ad adempiere)は別物で、契約を終わらせるためのものです。裁判所を通じた手続きは支払命令(decreto ingiuntivo)です。
| 対象者 | イタリアの企業や個人に支払いを求める個人・事業者 |
| 最初に確認すること | 請求の根拠、支払期日、未払いの金額、書面の証拠 |
| 履行遅滞 | 書面での催告の後に生じる。art. 1219 c.c.に定める場合は自動的に生じる |
| 利息 | 法定利率(2026年は1.60%)。事業者間はECB金利+8ポイントと40ユーロ |
| 次の手段 | 支払命令(decreto ingiuntivo)。通常の訴訟の前に弁護士関与の交渉か調停 |
| よくある間違い | 受領の証拠がない、意図せず解除予告付きの履行催告を送る、時効を完成させてしまう |
本ガイドは、イタリアの企業や個人に対して、すでに支払期日が来た金額を請求する場合を扱います。未払いの請求書、合意した返金、返してもらえない貸付金や預け金などです。一般的な情報であり、法的助言ではありません。賃貸住宅の敷金についてはイタリアの借主・家主の手紙、苦情の申し立てや裁判外の機関の利用についてはイタリアでの正式な苦情、契約を終わらせる場合はイタリアでの契約の解約のガイドを参照してください。
請求内容と支払期日を確認する
相手に支払義務がある理由と、支払期日がいつ来たのかをはっきりさせ、契約書、請求書、振込の記録、やり取りを保管してください。返済日を決めていない金銭の貸付(mutuo)では、裁判所が返済期日を定めます(art. 1817 c.c.)。返金が撤回や商品の欠陥を前提とする場合は、まずその根拠を確かめてください。
まず支払いの督促(sollecito di pagamento)を送る
督促(sollecito)に決まった方式はありません。イタリア民法典の規定(art. 1219 c.c.)が求めているのは、書面による「intimazione o richiesta」(請求または要求)だけです。そのため、支払いをはっきり求める書面であれば、それだけで債務者を履行遅滞にできます。疑いを残さないためには、下に示す正式な催告を使ってください。
Oggetto: Sollecito di pagamento — fattura n. [numero] del [data]
Spett.le [Società],
Vi segnalo che risulta ancora da saldare la fattura n. [numero] del [data], relativa a [beni o servizi], scaduta il [data di scadenza], per un importo di [importo] euro.
Vi chiedo cortesemente di provvedere al pagamento entro il [data] mediante bonifico sul conto intestato a [intestatario], IBAN [IBAN], indicando nella causale il numero della fattura.
Se il pagamento è già stato effettuato, Vi prego di inviarmi gli estremi del bonifico; se invece ritenete che l’importo non sia dovuto, Vi prego di comunicarmene per iscritto i motivi.
Distinti saluti [Nome e cognome]
債務者を履行遅滞にする:催告(messa in mora)
不法行為から生じた債務の場合、債務者が書面で支払いを拒んだ場合、または債権者の住所で支払うべき金額の支払期日が過ぎた場合は、正式な催告(messa in mora)は必要ありません(art. 1219 c.c.)。別段の合意や慣習がない限り、金銭は債権者の住所で支払うものとされているため(art. 1182 c.c.)、支払期日が決まった確定額の債権では、履行遅滞が自動的に生じることがよくあります。ただし、金額が確定していない場合は争いになることがあります。履行遅滞になった時点から、損害を証明しなくても法定利息が付きます(art. 1224 c.c.)。2026年の利率は年1.60%で、経済財務省は毎年この利率を変更できます(art. 1284 c.c.)。
事業者間の取引(専門職を含みます)や公的機関との取引には、D.Lgs. 231/2002が適用されます。別段の合意がない限り、支払期日は請求書の到着から30日後で、その後は催告がなくても、ECBの基準金利に8パーセントポイントを加えた利息が付き、さらに一律40ユーロを請求できます(art. 4〜6)。催告で定める期限に法律上の最短期間はありませんが、受領から15日とするのが一般的です。
Oggetto: Diffida e messa in mora — [riferimento: fattura, contratto o accordo]
Gentile [Nome e cognome],
in forza di [contratto, accordo o fattura] del [data] Lei è tenuto/a a corrispondermi [importo] euro entro il [data di scadenza], a titolo di [motivo del pagamento]. Ad oggi ho ricevuto [importo già pagato, eventualmente 0] euro e restano dovuti [importo residuo] euro.
Con la presente La invito formalmente a corrispondere [importo residuo] euro entro [numero] giorni dal ricevimento di questa lettera, mediante bonifico sul conto intestato a [intestatario], IBAN [IBAN], causale [riferimento].
La presente vale quale costituzione in mora ai sensi dell’art. 1219 c.c. e quale atto interruttivo della prescrizione ai sensi dell’art. 2943 c.c. Sulla somma decorrono gli interessi legali dalla mora (art. 1224 c.c.).
Se ritiene di non dovere la somma o di averla già pagata, La prego di comunicarmelo per iscritto. In mancanza di pagamento nel termine indicato, mi riservo di agire nelle sedi competenti.
Distinti saluti [Nome e cognome]
解除予告付きの履行催告(diffida ad adempiere)は別の手段
「diffida」という言葉は、上の例文のように、何も解除しない正式な警告全般によく使われます。これに対して、解除予告付きの履行催告(diffida ad adempiere、art. 1454 c.c.)は、もっと限られた手段です。双方が義務を負う契約で、通常15日以上の期限を書面で定め、期限までに履行されなければ契約が解除されると宣言します。期限が過ぎると契約は自動的に終了し、原則として遡って効力を失います。その場合は、履行の代わりに原状回復と損害賠償を請求することになります(art. 1453 c.c. および art. 1458 c.c.)。代金を払ったのに納品しない業者に対しては適していることがありますが、完了した仕事の請求書に使うことはまずありません。
それでも支払われない場合
時効に注意してください。時効期間は、多くの債権で10年(art. 2946 c.c.)、家賃、利息、定期的な支払いで5年(art. 2948)、専門職の報酬では、特別な推定時効のルールのもとで3年です(art. 2956)。催告のほか、分割払いの申し出など、債務者が債務を承認した場合も時効は中断します(art. 2944)。
裁判所を通じた通常の手段は、書面の証拠に裏付けられた確定額の金銭債権について申し立てる支払命令(decreto ingiuntivo)です。日本の支払督促に近い手続きですが、同じ制度ではありません。事業者の場合、書面の証拠には、会計帳簿の認証抄本や、SdIシステムを通じて送信された電子請求書も含まれます(art. 633 c.p.c. および art. 634 c.p.c.)。治安判事(giudice di pace)に申し立てる1,100ユーロまでの請求を除き、通常は弁護士が必要です(art. 82 c.p.c.)。債務者は送達から40日以内に支払うか異議を申し立てることができ、どちらもしなければ、支払命令は執行可能と宣言されることがあります(art. 641 c.p.c. および art. 647 c.p.c.)。
5万ユーロまでの通常の訴訟を起こす前には、まず弁護士が債務者に、弁護士の関与する交渉手続き(negoziazione assistita)を申し入れなければなりません。ただし、支払命令の申立て、事業者と消費者の間の契約、弁護士が不要な請求には適用されません(art. 3 D.L. 132/2014)。賃貸借、区分所有建物(マンション)、保険、銀行取引、供給契約などの分野では、調停が訴えの前提条件です(art. 5 D.Lgs. 28/2010)。これらの分野で債務者が支払命令に異議を申し立てた場合、調停を始めなければならないのは債権者です(art. 5-bis)。
ご自身と債務者が別々のEU加盟国にいる場合は、5,000ユーロまでの請求に欧州少額請求手続を利用できます(EU規則(EC)第861/2007号)。争いのない金銭債権には欧州支払命令もあり、被告は30日以内に異議を申し立てることができます(EU規則(EC)第1896/2006号)。申立ての様式はEUのe-Justiceポータルにあります。MaisonMailは手紙を郵送するサービスであり、裁判所への申し立てや債権の回収は行いません。
最終的な手紙を郵送して証拠を残す
完成したPDFをアップロードするか、MaisonMailで手紙を作成し、証拠書類のPDFは送付手続きの中で添付してください。受取人の住所によって送付先が決まります。利用可能なサービス、配達予定、最終料金は支払い前に表示されます。送った手紙そのもの、添付書類、配達の証拠を保管してください。追跡記録は郵便物が届いたことを示すだけで、中身までは証明しません。
催告は債務者に届いた時点で効力を持ち、債務者の住所に届いた時点で相手が知ったものと推定されます(art. 1334 c.c. および art. 1335 c.c.)。そのため、時効を中断させたり、履行遅滞を証明したりするには、受領を証明できなければなりません。イタリアでは通常、raccomandata A/R(受取人の署名入りの受領証が戻ってくる配達証明付き書留)か、PEC(posta elettronica certificata、法的に有効な受領証が発行される認証電子メール、art. 48 D.Lgs. 82/2005)を使います。事業者や専門職のPECアドレスは、公開ディレクトリINI-PECに掲載されています。普通郵便や追跡付きの郵便は、raccomandata A/Rには当たりません。受領の証拠が重要な場合は、これらのいずれかの方法でも送ってください。
公式情報源
参照した根拠資料と、現在有効なルールへのリンクです。
- Art. 1219 c.c. — Costituzione in moraNormattiva
- Art. 1284 c.c. — Saggio degli interessiNormattiva
- Art. 1454 c.c. — Diffida ad adempiereNormattiva
- Controversie di modesta entitàe-Justice
- Ingiunzione di pagamento europeae-Justice
情報は最終確認日時点のものです。このガイドは情報提供のみを目的としており、法的助言ではありません。複雑なケースでは専門家に相談してください。
よくある質問
イタリアの債務者を履行遅滞にするには、督促状だけで足りますか?
書面による請求や要求があれば足り、決まった文言はありません(art. 1219 c.c.)。債務者が書面で支払いを拒んだ場合、不法行為から生じた債務の場合、または債権者の住所で支払うべき金額の支払期日が過ぎた場合は、催告そのものが必要ありません。金銭債務は、債権者の住所で支払うのが通常のルールです(art. 1182 c.c.)。
催告(messa in mora)と解除予告付きの履行催告(diffida ad adempiere)はどう違いますか?
催告(messa in mora)は支払いを求めて債務者を履行遅滞にするもので、契約はそのまま続きます。解除予告付きの履行催告(diffida ad adempiere、art. 1454 c.c.)は、通常15日以上の期限を定め、期限までに履行されなければ契約が自動的に解除されるとするものです。契約を終わらせたい場合にだけ使ってください。
イタリアではどのくらいの利息を請求できますか?
履行遅滞になった時点から、損害を証明しなくても法定利息が付きます(art. 1224 c.c.)。2026年の利率は年1.60%で、省令によって毎年変更されることがあります(art. 1284 c.c.)。事業者間または公的機関との商取引では、欧州中央銀行(ECB)の基準金利に8パーセントポイントを加えた利率となり、さらに一律40ユーロを請求できます(D.Lgs. 231/2002)。
イタリアでは手紙で時効を止められますか?
債務者を履行遅滞にする手紙であれば止められます。時効は中断し、新たな時効期間が始まります(art. 2943 c.c. および art. 2945 c.c.)。ただし、効果が生じるのは手紙が債務者に届いてからなので、raccomandata A/RやPECなど、受領を証明できる記録を保管してください。多くの債権の時効期間は10年で、家賃、利息、定期的な支払いは5年です(art. 2946 c.c. および art. 2948 c.c.)。
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