ベルギーの賃貸:解約通知・保証金返還・修繕依頼の手紙
ベルギーの家主に送る手紙。ブリュッセル、ワロン、フランデレンの規則に沿った解約通知、保証金(garantie locative)の返還、修繕の依頼を例文で解説します。
要点
ベルギーの賃貸借法は地域ごとに定められており、住まいの所在地に応じてブリュッセル、ワロン、フランデレンのいずれかのルールが適用されます。標準的な9年契約では、3か月の予告期間でいつでも退去でき、契約が1年目、2年目、3年目に終了する場合は、家賃3か月分、2か月分、1か月分を支払います。予告期間は翌月1日から始まります。夫婦または法定同居人の双方が署名しなければなりません。ワロンでは、通知は書留郵便、執達吏による送達、または署名入りの控えと引き換えの手渡しで行う必要があります。保証金(garantie locative)は、双方の書面による合意か裁判所の決定がなければ返還されません。修繕を理由に家賃の支払いを止めてはいけません。
| 対象者 | ブリュッセル、ワロン、フランデレンで主たる住居を借りている借主 |
| 9年契約 | いつでも3か月の予告期間。1〜3年目の終了なら家賃3か月分、2か月分、1か月分 |
| 予告期間の開始 | 家主が通知を受け取った月の翌月1日 |
| 通知の方式 | ワロン:書留郵便、執達吏、署名入りの控え。ブリュッセル・フランデレン:自由、書留を推奨 |
| 保証金 | 双方の合意か裁判所の決定で返還。ブリュッセルの新しい契約は2か月以内 |
| よくある間違い | 夫婦の一方だけが署名する、ワロンで普通郵便を使う、家賃の支払いを止める |
本ガイドは、ベルギーの主たる住居の賃貸借(bail de résidence principale)、つまり家主の同意を得て主たる住居として住んでいる住まいを扱います。地域ごとに法律があり、ブリュッセルは住宅法典(Code bruxellois du Logement、CBL)、ワロンは住宅の賃貸借に関する2018年3月15日のワロン地域デクレ(décret wallon du 15 mars 2018 relatif au bail d’habitation)、フランデレンは住宅賃貸借デクレ(Vlaams Woninghuurdecreet、VWHD)です。フランデレンでは、VWHDは2019年1月1日以降に結ばれた書面の賃貸借に適用され、それより前の契約には従来の連邦のルールが適用されます。ワロンでは、下で説明する短期契約と学生向け契約のルールは2018年9月1日以降に締結または更新された契約に適用され、ブリュッセルでは、一部の改正が2024年11月1日以降に締結または更新された契約にだけ適用されます。一般的な情報であり、法的助言ではありません。ベルギーの法律は私人の手紙に使う言語を定めていないため(ベルギー憲法第30条)、下のフランス語の例文はフランデレン地域でも有効です。ただし、フランデレンの家主からはオランダ語で返事が来ることがあります。返還されない保証金についてはベルギーでの支払いの請求を、引っ越しに伴ってインターネットやエネルギーの契約を終わらせる場合はベルギーでの契約の解約のガイドを参照してください。
解約を通知する:予告期間と時期
| ブリュッセル | ワロン | フランデレン | |
|---|---|---|---|
| 9年契約 | 3か月。1〜3年目は家賃3か月分、2か月分、1か月分(art. 237, § 5 CBL) | 同じ(art. 55, § 5) | 同じ(art. 20, § 1 VWHD) |
| 家主の解約通知を受けた後の借主からの解約(9年契約) | 1か月、補償金なし | 1か月、補償金なし | 1か月、補償金なし |
| 短期契約(3年以下) | 期間が6か月以上の場合に限り、3か月と家賃1か月分(art. 238 CBL) | 3か月と家賃1か月分(art. 55, § 6) | 3か月と、1〜3年目は家賃1.5か月分、1か月分、0.5か月分(art. 21, § 2 VWHD) |
フランデレンでは、補償金は契約が終了する年によって決まります。短期契約は、少なくとも3か月前に通知した場合にだけ期間満了で終了します。通知しなかった場合や、そのまま住み続けた場合は、同じ条件の9年契約になります。学生向けの契約には独自のルールがあります。ブリュッセルでは補償金なしの2か月の予告期間(art. 256 CBL)、ワロンでは2か月の予告期間と家賃3か月分で、3月15日より後には通知できません(art. 81)。フランデレンでは、学業を終える場合など限られた場合にしか解約できません(art. 64 VWHD)。
「いつでも」行う解約通知の予告期間は、通知した月の翌月1日から始まります(art. 231 CBL、ワロン地域デクレ art. 30、art. 15 VWHD)。公的な解説では「通知した」を「家主が受け取った」と解しています。家主が3月20日に手紙を受け取れば、予告期間は4月1日から6月30日までです。手紙が4月2日に届くと、家賃がもう1か月分かかります。
家族の住まいの賃貸借は夫婦の双方に属するため、解約通知は双方から行わなければならず(旧民法典 art. 215, § 2)、法定同居人(cohabitants légaux)も同様です(art. 1477, § 2)。賃貸借契約が署名から2か月以内に登録されていない場合、ブリュッセルとフランデレンでは予告期間も補償金もなしで退去できます(art. 228/5 CBL、art. 20 VWHD)。ワロンでは、書留郵便、執達吏による送達、または手渡しで登録を求める正式な請求を送り、1か月たっても登録されない場合に限られます(art. 54)。ワロンとフランデレンでは、登録はMyMinfinで確認できます。ブリュッセルでは、2025年1月1日以降、賃貸借はBruxelles Logementの地域登録簿に登録されています(art. 228/1 から art. 228/5 CBL)。
正しい方式で解約を通知する
- ワロン: 解約通知は、書留郵便で送るか、執達吏(huissier de justice)に送達してもらうか、家主に手渡して、受け取った日付を記入した控えに署名してもらわなければなりません(ワロン地域デクレ art. 30)。普通郵便や追跡付きの郵便では足りません。国外からは、地元の郵便局から書留郵便で送ってください。
- ブリュッセル: 法律上の方式はなく、ブリュッセル首都圏地域が手紙のひな形を公表しています。普通郵便は投函の2日後に受け取ったものと推定されますが、投函したことを証明できなければならないため、書留郵便のほうが安全です。
- フランデレン: 賃貸借契約で書留郵便が求められていない限り、方式は決まっていません。フランデレン政府は書留郵便を勧めています。
例文は9年契約の場合です。短期契約や学生向けの契約では、上の表の条文を挙げてください。お住まいの地域の法的根拠を残し、補償金の額か、補償金が不要であることを記載します。理由は求められていないので書きません。借主全員と、夫婦または法定同居人の双方が署名しなければなりません。
Objet : Congé — bail de résidence principale — [adresse du logement]
Madame, Monsieur,
[Je soussigné(e) / Nous soussignés] [prénom(s) et nom(s)], [preneur / preneurs] du logement situé [adresse du logement] en vertu du bail signé le [date de signature] et ayant pris cours le [date de prise de cours], [donne / donnons] congé de ce bail conformément à [l’article 237, § 5, du Code bruxellois du Logement / l’article 55, § 5, du décret wallon du 15 mars 2018 relatif au bail d’habitation / l’article 20, § 1er, du décret flamand du 9 novembre 2018 (Vlaams Woninghuurdecreet)].
Le délai de préavis de trois mois prend cours le premier jour du mois qui suit celui au cours duquel le présent congé est donné, soit le [date], et prend fin le [date de fin du bail].
[Le bail prenant fin au cours de sa [première / deuxième / troisième] année, l’indemnité de [nombre] mois de loyer prévue par cette disposition vous sera réglée. / Le bail prenant fin après sa troisième année, aucune indemnité n’est due.]
Je vous propose d’établir l’état des lieux de sortie et de procéder à la remise des clés le [date proposée], et de convenir à cette occasion de la libération de la garantie locative. À partir du [date], ma nouvelle adresse sera la suivante : [nouvelle adresse].
Veuillez agréer, Madame, Monsieur, l’expression de mes salutations distinguées. [Prénom et nom du preneur] [Prénom et nom du conjoint ou cohabitant légal, le cas échéant] [Signatures]
保証金(garantie locative)の返還を求める
| ブリュッセル | ワロン | フランデレン | |
|---|---|---|---|
| 上限 | 家賃2か月分(art. 248 CBL、2024年11月1日以降の契約) | 家賃2か月分(art. 62) | 家賃3か月分(art. 37 VWHD) |
| 家主の返還期限 | 鍵の返却から2か月。遅れた場合は始まった月ごとに月額家賃の10%(art. 249, § 2 CBL) | 法律上の定めなし | 法律上の定めなし |
どの地域でも、銀行が保証金を返還するのは、早くても賃貸借の終了時に作成された書面による合意か、裁判所の決定の写しがある場合だけです(art. 249, § 2 CBL、ワロン地域デクレ art. 62, § 3、art. 37, § 3 VWHD)。借主だけが署名した手紙では口座の凍結は解けないため、銀行の返還用書式を家主に送って署名してもらってください。口座の利息は借主のものとして加算されます。ブリュッセルの期限は裁判の係属中には適用されず、期限と加算金は2024年11月1日以降に締結または更新された賃貸借にだけ適用されます。ワロンとフランデレンでは、法律が定めていない加算金を請求すると書かないでください。2023年6月1日に施行されたワロンの家賃2か月分の上限が、それより前の保証金に適用されるかどうかは明らかではありません。
退去した後、鍵を返す前に、どちらの当事者も、費用を折半して退去時の現況確認(état des lieux de sortie)を共同で行うよう求めることができます。ブリュッセルでは、遅くとも退去から1か月以内です(art. 220, § 3 CBL、ワロン地域デクレ art. 27、art. 39, § 2 VWHD)。通常の経年劣化(vétusté)と不可抗力による損傷は、借主の責任ではありません。保証金を最後の月の家賃に充てないでください。家主が理由なく返還を拒む場合は、治安判事(juge de paix)が返還を命じることができます。
Objet : Libération de la garantie locative — [adresse du logement]
Madame, Monsieur,
Le bail relatif au logement situé [adresse du logement] a pris fin le [date de fin du bail]. Je vous ai remis les clés le [date de la remise des clés] et l’état des lieux de sortie a été établi le [date]. J’en joins une copie.
La garantie locative de [montant] euros est constituée sur le compte n° [numéro de compte] ouvert auprès de [banque]. Je vous remercie de signer le formulaire de libération ci-joint et de le transmettre à [banque] au plus tard le [date], afin que la garantie, intérêts compris, soit versée sur le compte [IBAN] au nom de [titulaire du compte].
[Pour un bail bruxellois conclu ou renouvelé à partir du 1er novembre 2024 : l’article 249, § 2, du Code bruxellois du Logement prévoit, sous réserve d’une procédure contentieuse, la libération de la garantie dans un délai maximal de deux mois à compter de la remise des clés et, à défaut, une majoration de 10 % du loyer mensuel pour chaque période mensuelle commencée.]
Si vous estimez pouvoir retenir une partie de la garantie, je vous remercie de m’en indiquer par écrit les postes et les montants, avec les justificatifs. À défaut d’accord, je me réserve le droit de saisir le juge de paix.
Veuillez agréer, Madame, Monsieur, l’expression de mes salutations distinguées. [Prénom et nom] [Adresse]
修繕を求める
家主は、住まいを良好な状態で引き渡し、借主負担の小修繕(réparations locatives)以外のすべての修繕を行わなければなりません。経年劣化や不可抗力による修繕は家主の負担です(art. 219 および art. 223 CBL、ワロン地域デクレ art. 7、art. 8 および art. 15、art. 12、art. 25 および art. 26 VWHD)。各地域が借主負担の修繕の一覧を公表しています。修繕が必要になったら、すぐに写真を添えて書面で家主に知らせてください。フランデレンでは、知らせなかった場合、それによって生じた修繕は借主の負担になります。住まいが安全、衛生、設備の最低基準を満たしていない場合は、工事を求めるか、裁判所に賃貸借の終了を求めることができ、裁判官が家賃を減額することもあります。ワロンでは、まず家主に催告書(mise en demeure)を送らなければなりません(art. 9, § 2)。緊急の工事は受け入れる必要がありますが、工事がワロンでは40日(art. 21)、フランデレンでは30日(art. 27 VWHD)を超える場合は家賃が減額されます。
家賃の支払いを止めないでください。工事を命じ、家賃を減額し、賃貸借を終了させることができるのは治安判事だけです。賃貸借の紛争は、金額にかかわらず住まいの所在地の治安判事が扱います(art. 591 C. jud.)。執達吏を通さずに、裁判所の書記課に申立書(requête)を出して申し立てることができ(art. 1344bis C. jud.)、その前に、口頭でも、無料の和解期日を開くよう求めることができます(art. 731/1 および art. 732 C. jud.)。
Objet : Mise en demeure — réparations — [adresse du logement]
Madame, Monsieur,
Le [date], j’ai constaté dans le logement que je loue, situé [adresse du logement], le problème suivant : [description du problème et pièce concernée], qui [conséquences sur l’usage du logement]. [Je vous l’ai signalé le [date] par [moyen utilisé].] Je joins [photos ou autres pièces].
Cette réparation ne relève pas des réparations locatives à charge du preneur. Je vous mets donc en demeure de faire exécuter les travaux nécessaires dans un délai de [quinze] jours à compter de la réception de la présente et de me communiquer la date d’intervention. Pour convenir de l’accès au logement, vous pouvez me joindre au [numéro de téléphone].
À défaut, je me réserve le droit de saisir le juge de paix.
Veuillez agréer, Madame, Monsieur, l’expression de mes salutations distinguées. [Prénom et nom] [Adresse]
手紙を郵送して証拠を残す
保証金や修繕の手紙は、完成したPDFをアップロードするか、MaisonMailで手紙を作成し、送付の手続きの中で写真や書類をPDFで添えてください。受取人の住所によって送付先が決まります。利用可能なサービス、配達予定、最終料金は支払い前に表示されます。送った手紙と添付書類はすべて控えを保管してください。追跡記録は郵便物が届いたことを示すだけで、中身までは証明しません。解約通知の予告期間は、家主が受け取った月の翌月1日から始まるため、月末までに届くよう早めに発送してください。ワロンでは、MaisonMailの手紙は有効な解約通知になりません。解約通知(congé)は書留郵便で送るか、執達吏に送達してもらうか、家主に手渡して控えに日付と署名を記入してもらってください。 ブリュッセルとフランデレンでは、追跡付きの郵便も法律上は可能ですが、lettre recommandée(書留郵便)のほうが証拠として確実です。賃貸借契約で求められている場合は、書留郵便を使わなければなりません。
公式情報源
参照した根拠資料と、現在有効なルールへのリンクです。
- Les baux d’habitation à Bruxelles — brochure juridique (janvier 2025)Bruxelles Logement
- Renon et congé : modèlesRégion de Bruxelles-Capitale
- Het einde van de huurovereenkomstVlaamse overheid
情報は最終確認日時点のものです。このガイドは情報提供のみを目的としており、法的助言ではありません。複雑なケースでは専門家に相談してください。
よくある質問
ベルギーで借主はどのくらい前に解約を通知する必要がありますか?
主たる住居の標準的な9年契約では、理由を示さずにいつでも3か月の予告期間で解約できます。契約が1年目、2年目、3年目に終了する場合は、それぞれ家賃3か月分、2か月分、1か月分の補償金を支払います(art. 237, § 5 du Code bruxellois du Logement、art. 55, § 5 du décret wallon du 15 mars 2018、art. 20 Vlaams Woninghuurdecreet)。予告期間は、家主が通知を受け取った月の翌月1日から始まります。短期契約と学生向けの契約には別のルールがあります。
ベルギーの家主への解約通知は普通郵便で送れますか?
地域によって異なります。ワロン地域では、書留郵便で送るか、執達吏に送達してもらうか、家主に手渡して控えに署名と日付を記入してもらわなければなりません(art. 30 du décret wallon du 15 mars 2018)。ブリュッセルとフランデレンでは法律上の方式はありませんが、証拠のために書留郵便が勧められており、賃貸借契約で求められている場合もあります。
家主はいつまでに保証金(garantie locative)を返さなければなりませんか?
保証金は、早くても賃貸借の終了時に作成された書面による合意か、裁判所の決定がなければ返還されません。2024年11月1日以降に締結または更新されたブリュッセルの賃貸借では、裁判が係属中でない限り、家主は鍵の返却から2か月以内に保証金を返還しなければならず、遅れた場合は、始まった月ごとに月額家賃の10%を支払います(art. 249, § 2 du Code bruxellois du Logement)。ワロンとフランデレンには期限の定めがありません。
家主が修繕するまで家賃の支払いを止めてもよいですか?
いいえ。工事を命じ、家賃を減額し、賃貸借を終了させることができるのは治安判事(juge de paix)だけです。家主に書面で知らせ、家賃は払い続けてください。何も改善されない場合は催告書(mise en demeure)を送り、治安判事に無料の和解を申し立てるか、訴えを起こします(art. 731/1、art. 732 および art. 1344bis C. jud.)。
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